蜥蜴と蝶



あなたはまるで 果てゆく蝶のやう
最期の時まで気高く 我を捨てぬ
私を見据え 醜さを悪とするのか

私はまるで 逃げまどう蜥蜴のやう
尻尾を切り落として 隠れて生きる
あなたを盗み見ては 羨むばかり

自らを突き通せるなら 死すら厭わぬあなた
死さえ避けられるなら 自らなど捨て去る私

どちらが正しいのであろうか
どちらか正しいのであろうか



どちらも正しくなどない
正しさなど何処にもない

醜いと あなたは私を称すだろうか
地面に横たわったまま 落ちた尻尾を瞳に映して

ならば私は 美しいとあなたを謳おう
這い上がった壁から 地に伏す姿を見下ろして

逝く場所は どうせ変わらぬ
先か後か それだけだ

あなたのために あなたが死ぬか
私のために 私が生きるか

どちらを選べど同じならば
君はどちらを選ぶだろうか